藤の盆栽の特徴
マメ科フジ属の蔓性(つるせい)植物である藤は、暑さ・寒さに強く丈夫で育てやすいのが特徴です。適切にお世話すれば蔓がよく伸びて、春になると香りの良い青紫色の花を咲かせます。
藤には数多くの種類があり、それぞれ花の大きさも異なりますが、盆栽として育てられている藤のほとんどは「一才藤」です。一才藤は若木でも花が咲きやすいため、早いうちから観賞できます。
藤の盆栽の育て方
藤の盆栽の醍醐味は何といっても美しく優雅な花ですが、開花させるには適切なお世話が必要です。ここでは具体的な藤の盆栽の育て方を解説します。
置き場所
藤は日光を好む植物なので、年間通して日当たりの良い野外に置きましょう。暑さにも強いですが、浅い鉢の盆栽は水切れしやすいため、夏の間半日陰に置くのがおすすめです。
寒さにも強いため冬でも屋外に置いたままでかまいませんが、乾いた空気や霜から守るためにムロで保護しましょう。棚の下やガレージに移動させるのもひとつの手です。
水やり
藤の盆栽の水やり頻度は下記が目安です。
・春・秋:1日1~2回
・真夏:1日2回
・冬:2日に1回
ただし、周囲の環境や条件によって適切な頻度が変わるため、水やりから土が乾くまでのサイクルをチェックし、それに基づくタイミングで給水しましょう。例えば「2日目までは土が乾いていなかったが3日目に乾いた」場合は、3日に1回水を与えます。
また、藤もほかの植物と同じく根から水分を吸収するため、土の表面を濡らす程度では足りません。鉢底から水が流れるのを目で確認できるまでたっぷりと与えましょう。
肥料
藤は肥料が足りないと花を咲かせないことがあるので、生育期間中は養分をしっかり補給しましょう。特に新芽が出てくる4月下旬~6月頃は肥料を切らさないよう管理します。
とはいえ肥料の与えすぎも良くありません。7月中旬~8月中旬頃までは肥料なし、8月下旬~10月頃は秋肥を少し控えめに与えてください。
また、藤は空気中の窒素を吸収するため、窒素が多い肥料を与えると窒素過多になり、茎や葉が必要以上に大きく育つ場合もあります。すると開花しないこともあるため、窒素分が多すぎない肥料を使いましょう。
藤の盆栽のお手入れ方法
藤の盆栽の樹形を美しく保つには、定期的なお手入れも大切です。ここでは、藤の盆栽のお手入れ方法を紹介します。
剪定・針金かけ
藤の盆栽の剪定は、春先か花が咲いた後に行いましょう。6~9月頃にかけて花芽分化(植物の成長点が花芽になること)が起こるので、夏に伸びた枝はすぐに切らず、秋まで待って剪定します。
冬は剪定の必要はほぼありませんが、樹形に影響する枝がある場合は切っておきましょう。
また、藤は無理に手を入れなくても自然で美しい姿ができるため、針金かけは基本不要です。理想の樹形があり矯正が必要な場合は、葉が落ちた後に行いましょう。
植え替え
植え替えは2月下旬~3月中旬頃の芽出し前に行います。植え替えの頻度は、若木は2年に1回、古木は3~5年に1回が目安です。
ただし、藤は根が張りやすいので、鉢底から根が飛び出てきたらすぐに植え替えましょう。鉢の中で根がぎゅうぎゅうになっていると、花が咲かなくなることもあります。
若木の場合は根も多めに切っておきましょう。古木の場合は整理しても問題のない古い根を中心に、控えめに根切りします。土は一般的な混合土壌で大丈夫です。
盆栽の植え替えについては下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
「ミニ盆栽の植え替えに挑戦!方法や時期、最適な土の種類などについて解説」
花がら・芽摘み
花が咲き終わったら、早めに花がら摘みを済ませましょう。そのまま放置すると実ができて、藤の体力も消耗してしまいます。
また、5~6月頃に芽摘みも行ってください。これは枝が間延びし、大きくなりすぎてしまうためです。間延びした枝には花もつかないので、葉を1枚残して残りをカットしましょう。
繁殖
藤は繁殖が比較的容易で、種子・挿し木・接ぎ木・取り木のうちどの方法でも繁殖できます。ただし、苗は10~15年ほど経たないと花が咲きません。
挿し木・接ぎ木・取り木の場合は苗よりも早く花が咲きますが、早く花を楽しみたい場合はすでに花芽がついている、あるいは花が咲いている鉢を購入するのがおすすめです。
病気や害虫対策
藤には下記のような害虫がつきやすいため対策が必要です。
・フジノキクイムシ
・マメドクガ
・マメコガネ
・カメムシ
・カイガラムシ
・ミノガ類
・ハゴロモ類 など
特に注意したいのがフジノキクイムシです。名前の通り藤の幹を食べてしまう害虫で、薬剤を使ってもなかなか駆除できません。盆栽ではあまり見られない害虫ですが、こまめにチェックしておきましょう。
また、コブ病やうどんこ病、斑点病が発生することもあります。とはいえ適切な環境で正しくお手入れをしていれば病害虫は発生しにくいので、先に紹介した内容を参考にお世話しましょう。
まとめ
藤の盆栽は丈夫でお世話がしやすく、初心者でも育てやすいのが特徴です。これから盆栽を始める方は藤の盆栽を検討してみてはいかがでしょうか。
「京都花室 おむろ」では、手軽に楽しめる京都小鉢(ミニ盆栽)シリーズ「京藤」を取り扱っています。
「京藤」は世界遺産平等院などで有名な京都の藤をイメージした、柔らかな紫色の花と香りを堪能できる盆栽です。専属の生産者が10年以上の年月をかけ、丹精込めて育てたものであるため、届いた日から飾ることができます。また、難しいお手入れをしなくても美しい藤の花が楽しめるので、初心者の方にもおすすめです。