クチナシ盆栽の特徴
クチナシは熱帯地域に自生している植物です。温暖な気候の国ではメジャーな花木で、日本でも九州や沖縄、四国などの暖かい地域に自然分布しています。
ツヤのある濃い緑の葉が特徴的で、夏ごろになるとクリーム色の花が咲き、気品ある甘い香りを放ちます。
ちなみにクチナシの花には一重と八重があり、一重は受粉するとオレンジ色の実がつきますが、八重はほとんどつきません。一重と八重を一緒に育成すると受粉しやすくなるので、実を楽しみたい方は両方育ててみるのがおすすめです。
クチナシ盆栽の育て方
クチナシはやや繊細なので、正しい育て方を知っておくことが大切です。ここではクチナシ盆栽の適切な置き場所・水やり・肥料について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
置き場所
クチナシは暖かい地域に自生する植物なので、16~23度程度の暖かく風通しが良いところに置きましょう。また、冬場も15度以下にならないように注意し、冷たい風が当たらないようにします。なお、どの季節においても直射日光に当てる必要はありません。
振動や衝撃を与えると葉が落ちてしまう場合もあるので、頻繁な移動は避けてください。
水やり
クチナシ盆栽への水やりは下記の頻度が目安です。
・春・秋:1日1~2回
・夏:1日2回
・冬:2.3日に1回
上記はあくまでも目安であり、絶対にこの頻度で水をあげなくてはならないわけではありません。
水やりから土が乾くまでの日数をチェックして、乾燥する頻度で水を与えるのがおすすめです。例えば、水やりから3日目に土が乾いていたら、3日に1回の頻度で給水をします。
また、どの植物も根から水分を吸収するので、水やりの際は土の表面を濡らして終わるのではなく、鉢の底から水が流れ出るのを目視できるまでたっぷり与えましょう。
肥料
クチナシ盆栽には、下記の頻度を目安に液体肥料を与えましょう。
・春~秋:2週間おき
・冬:月1回
また、クロロフィル不足が原因の白化(植物の一部もしくは全体が白くなる)が起こりがちなので、白化対策のための肥料も用意するのがおすすめです。
クチナシ盆栽のお手入れ方法
続いて、クチナシ盆栽のお手入れ方法を紹介します。
剪定・針金かけ
クチナシ盆栽の剪定は開花後に行いましょう。開花前に剪定してうっかり花芽まで切ってしまうと、花が咲かなくなってしまいます。もちろん開花しなければ実もつきません。
また、剪定の際には枯れ枝や徒長枝など、クチナシの健康や樹形に影響する枝を切ります。
なお、針金かけは枝が柔らかい5~6月頃に行うのがおすすめです。枝が成長して針金が食い込む前に外しましょう。
摘果
クチナシ盆栽の実の観賞時期は11月下旬~12月頃です。実がついても樹勢は落ちにくいため長く楽しめますが、放置しすぎると樹が疲れてしまいます。なるべく年内に摘果するようにしましょう。
繁殖
クチナシは古枝や細枝でも水に浸けておくと根が出るため、挿し木での繁殖に向いています。実生(種から育てる)も可能ですが成長に時間がかかるので、挿し木で育てるのがおすすめです。
植え替え
クチナシ盆栽の植え替えは2~3年に1回が目安です。暖かい地域の植物であることから冬は根の成長が遅いので、4月以降の気温が上がった時期に植え替えましょう。
ただし、鉢底から根が出てきていたら上記の目安を待たず、すぐに植え替えてください。
また、クチナシは好酸植物なので、植え替え時には鹿沼土をはじめとする酸性の土を使います。
盆栽の植え替えについては下記の記事にてより詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
「ミニ盆栽の植え替えに挑戦!方法や時期、最適な土の種類などについて解説」
害虫対策
クチナシ盆栽には、下記のような害虫がつきやすい傾向にあります。
・オオスカシバ
・アブラムシ
・カイガラムシ
・オンシツコナジラミ など
特にやっかいなのがオオスカシバです。オオスカシバはクチナシの葉を暴食するため、対策が不十分だと1日ですべての葉が食べられてしまうこともあります。
樹葉がなくなっても枯れることはなく、すぐに新たな葉が芽吹きますが、花つきや樹形に影響を与えることも否めません。そのほかの害虫もクチナシ盆栽の健康や成長に悪影響を及ぼすので、専用の殺虫剤を使って対策をしましょう。
まとめ
クチナシ盆栽はツヤのある濃い緑の葉や甘い香りを放つ花、オレンジ色の実など、さまざまな姿を楽しめる魅力的な盆栽です。やや繊細なところはありますが、松や杉とは違うタイプの盆栽を育ててみたい方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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